初めてサーキットを走るあなたへ

一般の走行会を前提とした、サーキットでの注意事項を初心者向けにまとめてみました。

小林且雄のドラテク講座 …走行会のドラミで、小林選手がレクチャーしてくれたことです。

• もちろん、ヘルメットとレーシンググローブ。初めて走行する人は、自宅駐車場 でメットを被り、ドライビングポジションの確認も。結構窮屈に感じるかもしれません ので、予め慣れておいた方がいいでしょう。でもそのまま公道走っちゃ駄目ですよ。
• 服装は長袖、長ズボン、底の平らな靴(まさか厚底ブーツはいないでしょうが)。 但し、フリースのように燃えやすい素材は避けて下さい。GパンにトレーナーはOKです。
• ガムテープ（布テープ）、ビニールテープ。余裕をもって3〜4本。
• 必要のない荷物は、予め家に置いていきましょう。
• 最低限の工具。ホイールナットを増し締めする為のレンチ、万が一の事を考えてのジャッキ、タイヤ空気圧ゲージは必須です。
• 日常の点検。オイル漏れはないか、油脂、冷却水の量や汚れはないか等。
• ブレーキパッドの残量だけは必ず点検しましょう。 目安として言うと、パッドのベース(かまぼこ板)と同じ位の厚さは、もう危ないです。
• 軽量化を図るばかりに、ガソリンを少なくするのも問題です。 コーナーでガソリンが偏り、ポンプが吸えなくなってエンスト、最悪ブローもあり得ます。コレクタータンク装備車は別ですが。
  ターボ車は公道よりもかなり燃費が悪くなります。私の経験では、筑波への往復を含めて、 3km/L！
  また、PITでは、クーリングの為アイドリングしているので、走行時間中にガス欠とならぬ様、満タンでいいでしょう。サーキット内にGSがあるコースもありますが、営業していなかったりもしますので。以上、ガス欠経験者より(冷汗)

• ライトのレンズ類に衝突時の飛散防止テーピング(ビニールテープ)。 下の写真のように、ボディにもしっかりとかかるように。 ヘッドライト、ウィンカー、テールレンズ、フォグ、全て2本掛けでテーピングします。
  

  悪い子の例	よい子の例

• パワステオイルタンク・キャップにテーピング(飛ばないように)
• タイム計測器取り付け。サーキットによって違うので指示とおりに。
• ゼッケン貼り付け。ボンネット&運転席の2枚が多いみたいです。 ガムテープではなく、布テープを用意し、風圧で剥がれないように四辺をしっかりと止めましょう。
• タイヤ空気圧の点検。取り敢えず最初は、メーカー指定値に合わせておきましょう。走行開始後、調整します。
• ホイールナット増し締め、その他、通常の車の点検。
• ホイールセンターキャップがある場合は外してください。 往年の名レーサー、 浮谷東次郎が練習走行中に事故死した原因は、他車から脱落したホイールキャップなのです。
• 車内荷物は全て降ろしましょう(軽量化及び走行中の飛散防止)。
  地図、レー探、ドリンクホルダー...完全に固定されていないものは全て降ろします。
• 運転席のフロアマットも降ろします。 ずれていって、ブレーキペダルに噛んでしまい、ペダルをフルに踏めなくなってしまう危険があります。
• フロントナンバープレートも不要なので外しましょう。ラジェータに沢山風をあてるためです。
• 車の準備だけではありません。身体の準備も必要です。軽く柔軟体操などするのもいいでしょう。サーキット走行、結構疲れるものです。

• 走行時間帯の確認、旗とオフィシャルポスト位置の説明、アクシデント時の対応方法などの連絡があります。
• もしわからないこと、不安な事があれば、どんどん質問しましょう。
• コース係員が参加し説明してくれる事もあります。前の組がオイルを撒いたので 注意するように、といった、その日のコンディション、コースの危険なコーナーの説明もあるかも。
• フラッグについて
  レースではもっと種類がありますが、走行会で出される可能性がある物に絞って説明します。

  	イエローフラッグ。前方が危険な状態であることを示します。スピン車両がいる場合などです。 1本静止→1本振動→2本振動の順で、危険度が高くなります。スピン車両がコース上にとどまっていると、振動または2本振動という具合。 この区間は、追い越し禁止です。
  	レッドフラッグ、走行セッション中止。重大な事故、コースに大量のオイルが撒かれ走行困難となった場合に掲示されます。スローダウンして、その周回でPitInします。 当然全コース、追い越し禁止です。
  	オイル旗。この先、オイルや砂利などがコース上に出ていて、滑り易い状態であることを示しますので、その区間は注意して走行してください。
  	チェッカーフラッグ、セッションの終了。メインポストのみで出されます。同じく、 スローダウンして、その周回でPitInして下さい。
  	オレンジボール。車両に異常があり、走行中止を命じるものです。バンパー脱落、 オイルや火を噴いている場合などで、これもメインポストのみで、ゼッケン番号と共に提示されます。これを出された車は、すみやかにPitInし、Officialの指示を受けて下さい。
  	青旗。レースでは、周回遅れの車に提示されますが、走行会では青信号と同じ意味です。 走行会では、Pit出口でしか見た事はないですね。

• フラッグの指示区間
  掲示されたポストから、その次のポストまでの間が該当します。イエローが出たら、 次のポストまでは追い越し禁止となります。

• コースに入る前に、もう一度確認しましょう。 ヘルメットの顎ひもはしっかり留めているか？　運転席側の窓は開いていないか？
• どこの走行会でも最初の2,3Lapは、ペースカーについて慣熟走行を行います。 ペースカーが走行ラインの手本を示しますので、前車の走行ラインを忠実にトレースして、 後車に伝えて下さい。一台でもラインを外すと、その後の車が全員迷惑しますので。

  悪い子達	よい子達

• 走行ラインだけでなく、ブレーキングポイント、コースコンディション(滑り易い場所)、車に異常がないか、コーナー毎のオフィシャルポストの場所も確認しましょう。

• 慣熟走行が終わると、いよいよフリー走行、タイムアタックです(慣熟終了後、 一旦PitInするか、そのままスタートかは、走行会により異なります)。
  ハヤル気持ちは判りますが、開始直後はコース上が大変混雑します。 ここはひとつゆったりと構え、初めての人は、10分位他車の走りをPitからチェックするのもお奨めです。
• PitOutする際には…
  PitがIn側にあるサーキット(筑波等)では、 1コーナーはIn〜In〜Outのラインを取りましょう。 PitロードからいきなりホームストレートをOut側に横切るのは、大変危険です。
• 最初の数周は無理せず、マイペースで。 そしてPitInしたら、必ずタイヤ空気圧をチェックしましょう。ここで、空気圧を調整します。詳しくは、次の項に記しました。
• メリハリのある運転で
  たまに、サーキットに来たのに、ストレートでもアクセル全開にしていない人がいるみたいです。なんともったいない！
  サーキット走行中は、アクセルかブレーキ、必ずどちらかを踏んでいることになります。空走時間が0になるよう、メリハリのある運転で。
• 一番大事なブレーキ
  ブレーキングポイントは、序々に詰めていくようにしましょう。 最初は100m手前、95m、90m...という具合に。また、他車種のブレーキングポイントは、あまり参考にしないように。もしその車にブレンボのN1レース用キャリパーが 付いてたら…同じ突っ込みだと自分は間違いなく飛び出してしまいます…
• 速い車が多くて怖い…
  いくらクラス分けされていても、パワー差があってどんどん抜かれてしまうこともあるでしょう。抜かれる際の注意としては、 速い車に任せ、自分から進路を変更して譲ることは絶対にしないことです。
  ウィンカーやハザードを使うよう、ドライバーズミーティングで決める事もありますので、指示に従ってください。
• PitInする際には
  アタックを終了してPitInする際には1周クールダウンラップを取って下さい。 あまりスピードを落とすのも危険なので、1つ2つ上のギアで流しましょう。
  Pitに入ったら、エンジンを掛けたままボンネットフードを開けて、車を冷やし、 次のアタックへ備えます。

タイヤ空気圧はどの位？

• エアゲージを必ず用意しましょう。ガソリンスタンドの圧力計は、 店によってはかなりいい加減で、0.3k位違う場合もあります。 あんまり安い物もあてになりません。2000円くらいは奮発したいものです。
• 走行前には、タイヤメーカー指定の圧よりも落とします。
  235-40R17の場合、2.6kとありますが、冷間で2.6kだと、コースを数週したら3.1kにも なった失敗経験があります。Twoの場合、スタート前は2.4k位に設定します。 夏はもう0.1位落とします。
• まずは数周してPITで圧を測り、気温、走り方などを考慮し、 どの位圧が上がるかというのを覚えていくしかありません。 これは、車(重),運転スタイル,タイヤ銘柄によって発熱量が違うからです。
• ただ、初走行の人・車の場合には、圧のあがり方が判りませんので、メーカー指定値でスタートし、序々に抜いて調整するのがベストでしょう。
• コースにもよりますが、4輪で圧の上がり具合は違います。これも考慮して、 調整できると…ベストですね。
• 帰り道は…一般走行にはエアーがやや足りない状態になってしまうので、 補充するか、それまではゆっくりと帰ってくださいね。

• 「怖いと思ったら、それがあなたの限界です」
  私が初めて参加した走行会のドライバーズミーティングで、横浜ゴムの営業部長が語ったフレーズです。実はこれ、結構気に入っています。
• 自分の車の性能、運転技術、体調と相談し、決して無理しないようにスポーツ走行を楽しんでください。無理をしてアクシデントを起こしてしまうと、参加者全員に迷惑を掛けてしまうことになりますし、車にダメージを負うのも悲しいものです。

• どこのサーキットでも、ホームストレートにメインポストがあります。 ここは、毎周必ず確認して下さい。
• ストレートでは、自車の計器類を確認しましょう。水温、油音、警告灯など。 その分コーナーでは走行に集中して下さい。

• 折角サーキットに来たのですから、エアコンはoffにして、 パワーロスなく存分に走りましょう。5〜10馬力の損失があるとか。
• 暑い日こそ、ヒーターを全開に！
  水温が限界(100度近くまで）上がってきた場合は即実行。
• 運転席側の窓は、たとえどんなに暑い日でも、全開にしてはいけません。 開けるとしても、10cm位まで。アクシデント時に腕や頭が車外に出てしまうと、 極めて危険だからです。助手席側は好きなだけ開けて構いません。
  フルバケットシートに4点以上のシートベルトがあれば、OKという場合もあるかも。

• 自力でコースに復帰できないか、トライします。
• 復帰できない場合(スタックや車に損傷がありそう)は、 エンジンを止めてキーを付けたまま車を降り、オフィシャルの指示に従ってコース外へ非難します。
• このとき、決して車の様子を確認しようとしたりしては駄目です。 降りたら一目散でコース外へ。ポストが近い場合には、入れてもらえるかも。
• 車の回収は、赤旗を出して随時行う場合と、走行時間終了後に行う場合、 ケースバイケースです。ドラミで確認しておきましょう。
• 他車との接触の場合、お互い、自分の車を直すというのが原則です。どちらが悪いということもありませんし、公道での事故のように過失相殺もありません。 また、コース設備を破損した場合は全て弁償することになります。スポンジバリアをマフラーの熱等で燃やしてしまうと数万円、ガードレールは十数万円以上掛かってしまいます。
  もしコースアウトしてしまっても、最後まで諦めずに車をコントロールするように…

• 折角の走行会が雨…大変残念ですが、ウェットコンディションでは 車の限界が低いので、お勉強にもなります。恐がらずに走りましょう。 注意点としては、
• ブレーキは早めに。制動距離が伸びますから。これは当たり前。
• 縁石には絶対に乗らない。μが路面よりも低いので、スピンします。
• 脚廻りが調整式の人は、一番柔らかくってOKだと思います。 32段も調整できるショックは…一番じゃなくてもいいかもしれませんが。

• タイヤやブレーキが熱で駄目になったことによる、コースアウト。 ブレーキパッドが燃えたり、磨耗してなくなったのを見たことがあります。
• ターボ車の配管抜け。ホースバンドは走行前に確認しましょう。
• 無理なブーストでの走行によるタービンブロー。ブーストUpといえども、 チューンドカーです。油温や排気温管理は必要だと思います。

• 車があっての趣味です。あまりムキにならず、無理せず、車をいたわって走る位の気持ちでいることがいいでしょう。