プロレーサー・小林且雄のドラテク講座
'98/9の筑波走行会のゲストに、GT300インプレッサに乗る小林且雄選手が来た時に、
簡単なドライビングレクチャーをしてくれました。
尚、ターゲットはサーキット走行初体験者、
数回目だがタイムがなかなか上がらない人、等、初心者向けです。
その0・ドライビングポジション(基本)
サーキットを走る時には、シートを普段よりも1ノッチ前に出す。
クラッチを一杯に切った時に、膝がまだ少し曲がっている位。
シートバック(背もたれ)は、ハンドルの上(12時)を持った時に肘が
曲がる程度に起こす。ストレート・アームでは、正確な操作はできない。
その1・アクセルは、踏める所は全開で
とにかく、全開に踏んでいる時間が長ければ長い程、タイムはアップする。
コーナーでは、最初は恐いだろうが、車の挙動が安定している分には
とにかく踏むべし。
その2・ブレーキは、強く短く終わらせろ
初心者には、タイヤがロックする程の強い、フルブレーキングが出来ない人が多い。
私のドライビングスクールでは、わざとロックさせてフルブレーキングを体験させ
る位である。
その3・真っ黒な、タイヤの力は摩擦円
タイヤは、高くてすぐ減ってしまうただの真っ黒なゴムであるが、次の事を
理解し、タイヤを会話しながら、うまくタイヤを使って走ること。
タイヤの摩擦力は一定であり、駆動方向に摩擦力を使うと、旋回方向の摩擦力は
どんどん減少してしまう。
- 円の半径が、タイヤの持っている摩擦力である。
- ブレーキに10の摩擦力を使ってしまう(ロックの状態)と、ステアリングを幾ら切っても車は曲がらない
- が、ブレーキを7にすると、旋回方向に使える摩擦力が出て来る。
- 円の大きさを大きくする(摩擦力=グリップを上げる)には2つ方法がある。
1つは、タイヤ自体の性能を上げる(ハイグリップタイヤに交換する)こと。
- 2つ目は、前輪と後輪の荷重を変化させる。
- ブレーキングにより、前輪に荷重がかかると、前輪の摩擦力は増加する。
(その分後輪は減少するが)
この荷重移動(姿勢変化)を意識し、タイヤの摩擦力を引き出して走ること。
まとめ:タイヤをうまく使うには
- 進入時には可能な限り強くブレーキング。ステアリングは直進状態。
- 前輪に荷重がしっかりかかった状態で、すっとブレーキを緩める。
- 前輪の荷重が抜けないうちに、サッとステアリングを切り込む。
※言葉は小林選手が話した単語を用いて、
可能な限り忠実に再現しているつもりです。
2つの絵は、実際に小林選手が黒板に書いて説明したものです。